プレスリリース
アルコン白内障手術ガイドシステム「VERION™」と統合し1台でシームレスで精度の高い白内障手術前検査を実現
- アルコン白内障手術ガイドシステム「VERION™」と光学式眼軸長測定機器「ARGOS®」(santec株式会社)を統合
- より早く1-4、より簡単に5,6、より高い精度1,2,7,8で眼軸長の測定が可能に
- 作成された手術計画データは白内障屈折矯正手術機器に自動送信。病院内のワークフローを合理化し、データ手入力によるエラーのリスクを低減6
- アルコンとsantecのグローバル戦略的アライアンスにより、アルコンが独占販売権を取得
日本アルコン株式会社(本社: 東京都港区、代表取締役社長:リック・コズロスキー、以下「日本アルコン」)は、白内障手術ガイドシステム「VERION™」(べリオン)の生体計測機能、手術計画作成機能と、santec株式会社(本社:愛知県小牧市、以下「santec」)が開発した光学式眼軸長測定機器「ARGOS®」(アルゴス)が統合された、「ARGOS® Ver.1.5」を本日8月3日に発売しました。同製品により、白内障手術に必要とされる眼軸長(眼球の長さ)を含む生体計測から手術計画まで、1台でよりシームレスかつ精度の高い白内障手術前の検査・計画が可能になります。ARGOS® Ver.1.5は、アルコンとsantecのグローバル戦略的アライアンスにより、アルコンが独占販売権を有します。
ARGOS® Ver.1.5は日本製で、眼軸長を含む生体計測を行い、その結果をもとに白内障手術の計画作成をサポートします。作成された手術計画データは手術室に送信され、VERION™イメージガイドシステムによって、角膜の切開位置、眼内レンズ(人工の水晶体)の軸や固定位置などが目の上に表示されます。また、手術計画データはアルコンのその他の白内障屈折矯正手術機器へも送信できるため、病院内のワークフローを合理化し、データ手入力によるエラーのリスクを低減することができます。
ARGOS® Ver.1.5は高度なSS-OCT技術を有し、白内障手術前に行われる眼軸長測定検査をより早く1-4、より簡単に5,6、より高い精度1,2,7,8で行うことができます。水晶体の白濁が進んだ白内障グレード4以上において他社製品と比較して高い眼軸長データ取得率を実現9したほか、角膜頂点から網膜を4つのセグメントに分け、それぞれの屈折率から各組織の長さを算出し、それを合算する独自のセグメント方式を採用することで、より精度の高い軸長データの計測が可能です7。
ARGOS®はSS-OCT用光源等の開発・製造を手がけるsantecの医療機器ブランドMOVUが開発し、2016年に日本で発売しました。その後2019年5月にアルコンとsantecがグローバル戦略的アライアンスを組み、ARGOS®にVERION™の手術計画作成サポート機能と生体計測機能を統合させ、今回、ARGOS® Ver.1.5の発売に至りました。santecが製造販売、アルコンが独占販売権を有します。
日本アルコン代表取締役社長のリック・コズロスキーは次のとおり述べています。「白内障手術は、安全性、効率性が求められる時代を経て、現在は、術後の屈折結果、患者様のニーズに合った裸眼視力が求められる時代へと進化していますが、手術のプロセスのあらゆる工程において、誤差の要因が生じています。ARGOS® Ver.1.5はその一因となりうる術前検査の精度をより高めることで、術後結果に違いをもたらします。また、機器間のコネクティビティを向上させることで、よりシームレスかつ精度の高い白内障手術が可能となりました」。
また、コズロスキ―は今回のアライアンスについて、「眼科医療機器のグローバルリーダーであるアルコンが、日本企業とアライアンスを組むのは今回が初めてです。アルコンの技術と日本発の技術が統合され、世界中の人々の素晴らしい視界に貢献できることを非常に嬉しく思っています」と述べています。
santecの代表取締役社長である鄭 元鎬 (てい もとたか)氏は次のとおり述べています。「ARGOS®とアルコンのVERION™の統合は白内障手術の進化と言えます。眼科医の方々に総合的で効率的なソリューションを提供し、患者様にベストな術後結果がもたらされることを期待しています」。
<製品概要>
販売名:SS-OCTバイオメータARGOS 医療機器認証番号: 228AABZX00054000 販売名:エレベーションテーブル 医療機器届出番号:13B1X00211000045 価格:14,450,000円(税抜)* * ARGOS® Ver.1.5とVERION™デジタルマーカーのセット価格。 VERION™をすでに保有している場合、ARGOS® Ver.1.5を単体で販売します |
<白内障について>
白内障は、目の水晶体が濁り、眼球壁の最内層にある網膜に光が届きづらくなることで視力が低下する病気です。世界で失明原因のトップとなっている白内障は、年齢とともに発生率が増加し、80代以上ではほぼ100%の人が白内障に罹患するというデータが提出されているほど、誰もが発症する可能性のある病気です10。現在、世界全体で2000万人もの人々が白内障によって失明しており、失明原因の51%を占めていると報告されています11。日本では眼科医療の発達により、白内障による失明は3.8%、失明原因の第6位にとどまっていますが12、高齢化が進む日本では、今後も患者数の増加が見込まれます。
About Alcon
santec株式会社とMOVUについて
santecは光技術のパイオニア企業です。その技術は、世界中の主要な通信事業者、伝送装置/サブシステムメーカー、最先端の研究施設や大学等で採用されています。 MOVUはsantecが2014年に立ち上げた医療機器ブランドです。2004年に世界初となるSwept Source OCT(高速波長走査型光コヒーレンストモグラフィ)の技術を開発し、2014年に全眼球を高深度OCTで撮影するSS-OCTバイオメータARGOS® (光学式眼軸長測定装置)を製品化しました。MOVUは、臨床における、測定速度、診断速度と精度を向上させることをミッションとし、世界の患者様のQOL向上への貢献に努めています。詳細は、www.santec.com/jpをご覧ください。
References
- Tamaoki A, Kojima T, Hasegawa A, et al. Clinical evaluation of a new swept-source optical coherence biometer that uses individual refractive indices to measure axial length in cataract patients. Ophthalmic Res. 2019;19:1-13.
- Shammas HJ, Ortiz S, Shammas MC, Kim SH, Chong C. Biometry measurements using a new large-coherence-length swept-source optical coherence tomographer. J Cataract Refract Surg. 2016;42:50-61.
- Hussaindeen JR, Mariam EG, Arunachalam S, et al. Comparison of axial length using a new swept-source optical coherence tomography-based biometer. PLOS ONE. December 2018.
- ZEISS* IOLMaster* 700 510k Submission 2015.
- VERION™ Reference Unit User Manual 2019.
- ARGOS® Biometer User Manual 2019.
- Whang W, Yoo Y, Kang M, Joo C. Predictive accuracy of partial coherence interferometry and swept-source optical coherence tomography for intraocular lens power calculation. Sci Rep. 2018;8(1):13732.
- Shammas HJ. Accuracy of IOL power formulas with true axial length versus simulated axial length measurement in 318 eyes using an OCT biometer. 2019 ASCRS ASOA Annual Meeting. May 2019.
- Tamaoki A et al.Ophthalmic Res 2019;62:11
- Minds 白内障診療ガイドラインの策定に関する研究
- 世界保健機関(WHO)
- 2007年厚生労働省研究班調査報告書